腐乳(発酵豆腐)

腐乳とは

腐乳とは干し豆腐に麹を付け、塩水の中で発酵させた中国特有の伝統食品です。

「中国のチーズ」という別名を持つ不思議な食べ物です。

立ち位置としては中国の家庭における漬物・おつまみに相当します。

ご飯・饅頭など主食に付けたり、お粥に入れたり、炒め物の調味料として使ったりと多種多様な使われ方をされています。

腐乳の種類

腐乳は主に3種類あります。白腐乳、赤腐乳、青腐乳です。

白腐乳は、塩製腐乳です。宋(960-1279年)の時代から既に名を馳せており、桂林三宝の一つとして受け継がれてきました。見た目は黄色かかっていて中身は白いです。舌触り滑らかで、豆で出来たチーズの様なスムーズなコクのある味わいです。

赤腐乳は、麹菌型腐乳です。他の二つと比べて制作工程が多く、完成するまで数ヶ月は掛かります。赤麹を加えている為、表面は真っ赤に染まっており中身は白いままです。白酒に長く浸かっており、他の二つと比べてアルコールの匂いがしっかりと染み込んでいるのが特徴です。

青腐乳は、ケカビを用いて発酵した細菌型腐乳です。別名「臭豆腐」とも呼ばれています。上の2つと比較して腐敗臭が強く「臭くて美味しい料理」の一つに数えられます。青腐乳の発祥は1669年、王致和という名の苦学生によって発明されました。実家が豆腐屋を営んでおり、売れ残った豆腐を捨てるのは勿体ないからと、王致和はいつも塩漬けして保存していました。しかし、ある年受験を控えた王致和は塩漬けした豆腐を食べるのを忘れてしまい、気付いたのは受験が終わった秋頃でした。慌てて確認すると、豆腐はカビて青く変色してしまい、なんとも言えない香りを放っていました。好奇心と勿体無さから一口食べてみると、臭みの中に濃厚な旨味が隠れていて、試しに隣近所の方にも味見させたところ大好評ですぐ様話題になりました。それから民間で人気となり「王致和」はブランド化されていきました。青腐乳は誕生から200年後、西太后(慈禧太后)にも気に入られ、より洗練された名前「青方(※訳:青い四角いもの)」を与えられ皇族御用達の料理となりました。

ちなみに、今でも腐乳と言えば「王致和」というくらい人気なブランドです。

 

味について

白、赤、青、三種類の腐乳は見た目も違えば味も違います。

白腐乳:一番クセが少なく、日本人も食べやすい。豆乳を固めてチーズにした様なスムーズな食感です。葉野菜を炒める際に入れると旨味とコクが立ちます。

赤腐乳:一番アルコールみが強く、中国で一番スタンダードなものです。食感は白とほぼ一緒です。ものによっては唐辛子が入っていてピリ辛の場合もあります。ご飯の付け合わせ、酒の賄い、お肉料理の色付けとしてマルチに使われます。

青腐乳:一番刺激臭が強くて臭いです。好き嫌いがハッキリと別れやすいが、ハマれば最高に美味しいです。

腐乳はコーヒーやビールと同様、子供の頃は苦手だったけど、大人になるにつれて食べれる様になったという人が多い印象です。

 

栄養・効能

腐乳は主原料が干し豆腐なので、通常の豆腐よりも水分が少なくタンパク質とカルシウムがとても豊富です。

(下の図が「干し豆腐」です。通常の豆腐を圧搾してできるもので、水分量は通常の豆腐の1/2。細く切って炒め料理の具材として日常的に使われています。結構ずっしりしています。)

腐乳は発酵過程において微生物が豆腐に含まれるフィチン酸を分解し、元々人体に吸収され難い鉄分・亜鉛などミネラルに対する吸収力を高めてくれます。また、発酵を経ることによって通常植物性食品には含まれないビタミンB12を合成できる為、ヴィーガンなどの菜食主義者が陥りやすい悪性貧血を予防することができます。

キムチ・納豆と同様、腐乳は発酵食品なので、乳酸菌など人体に有益な菌を沢山含んでいます。

豆腐の約2倍のタンパク質、カルシウム、鉄分、亜鉛、ビタミンB類も豊富に含まれているので実は身体に嬉しい健康食品なのです!

しかし、塩分とプリン体の含有量が比較的高いので、高血圧や痛風をお持ちの方はご自身の体調と相談しながら召し上がってください。

 

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